アロイス・カリジェ「ウルスリのすず」岩波書店
10月23日の本日を迎えられたチョコリットの皆様にぜひご覧に入れたい絵本「ウルスリのすず」の3つの場面でございます。
ウルスリは、山の子供です。いよいよ明日は鈴行列のお祭りで、大きな子供たちと一緒に鈴を借りに行ったのですが、ウルスリだけが小さな鈴しか借りられず、周りの子ども達にはやしたてられ、涙をこぼします。ウルスリは考えに考え、山の夏小屋のことを思い出します。そこには大きな鈴がかかっていたのです。ウルスリは、こわい橋や深い溶けかかった雪をものともせず、一足、一足、進んで行き、山小屋は次第に近くなって行きます。やっとたどり着いた小屋の戸はしまっています。それでも、彼は低い窓から中に潜り込んで入っていきました。そして小屋の中には、確かに大きな素晴らしい鈴がかかっていたのです。ウルスリは、そのまま眠ってしまい、小屋で夜を過ごしてしまいます。お父さんとお母さんは心配して待っています。朝になるとウルスリは、大変な勢いであっという間に山を駆け降り、家に到着します。お母さんは、さっとドアを開け、息子を抱きしめるのです。ウルスリの肩には、鈴がぶら下がっていました。
本日、講堂でお嬢様を送り出され、お嬢様が帰っていらっしゃるまでの間、お母様方はどんなにご心配な思いでお待ちになることでしょう。でも、お嬢様を最後の最後まで信じられ、ご無事に最後まで実力を発揮できますよう、祈り続けていて頂けましたらと存じます。小さなウルスリは小屋に着く前に、雪の中に靴が潜り、足の根元まですっぽり埋まり、泣きたくなり、もしかしたら鈴も小屋に無いのではないかと疑問に思います。
「それでもウルスリは、一足一足、進んでいき、山小屋は次第に近くなりました。小屋は、沈みかける夕日を浴びています。ウルスリは、それをしっかり見つめながら進みます。」
なぜ、ウルスリは進み続け、小屋にたどり着くことができたのでしょうか。それは、ウルスリが小さな鈴しか貸してもらえず、涙を流したからではないでしょうか。そして、一生懸命に考え、どうしても手に入れたいものがあるありかを自分で思いついたからではないでしょうか。
チョコリットで皆様にお会い出来、そのたとえようもない個性の輝きに、心を揺さぶられ続けて参りました。最後の授業で、皆様に合格こびとさんからのお粉を今年もお渡しすることができました。まだお手渡しできていない方も若干いらっしゃいますので、その方々にも、こちらからお粉を送らせていただきます。合格こびとさんのお粉の持つ力は、計り知れません。お嬢様の見えないものを信じられるお力には、毎年感動をいただいて参りました。
本日は、ウルスリが前進し続け、大きな鈴を手に入れた姿をお嬢様に重ねあわせ、勇気を持ってお嬢様とともにお進み下さいませ。同じ横浜から、皆様のことを一人一人思い浮かべ、心から合格をお祈り致しております。