皆様、お久しぶりでございます。春爛漫まであと少し、去り際の冬が雪の在庫を余さず置き土産として降らせて行かないようにと願っております。
先日、新年長さんのお母様より、前回行動観察クラスで読ませて頂きましたマナーのご本につきまして、おばあ様とお嬢様とご家庭でご一緒にお読みになられ、おばあ様が『この本は子育てバイブルですね』と涙ぐまれたとのメールを頂き、及ばずながら、前回の授業がご家族様の美しいそのお時間の一端になりましたことに、静かな、温かな喜びを覚えた次第でございました。・・・先日も申し上げましたが、ご卒業生のお母様方も、現在お通いのお母様方も、本当にそれぞれが良く行き届かれ、私自身が多くを学ばせて頂いておりますが、そうしたお母様方の御母上様ですから、ほとんどの方とはまだお目に掛かったことはございませんが、清らかなお心の賢母でいらっしゃるということは推して知るべしですね。そして、そのメールで、お母様は「今日の子供達は新しい物やIT機器に溢れていて物の大切さの教育が難しいなと日々感じます。」ということをお書きになられ、そうしたお気持ちを育てる絵本をお尋ねくださっておりました。そのお返事として、ブログに書かせて頂くお約束を致しましたので、簡単ではございますが、絵本の名前のご紹介をさせて頂きます。
まず、そのお母様がお嬢様に選ばれました「おじいちゃんならできる」フィービ・ギルマン作・絵 福音館書店 というご本も大変良いご選択でいらしたと存じます。私も好きな絵本で、とりわけ、おじいさんと孫ヨゼフのやりとりの他にも他のお部屋でも温かな家族同士の生活が営まれている様が素敵ですし、この絵本で一番物を大切にしているのは、案外、床下のねずみ達なのかもしれませんね。ただ、ひとつだけ気になりますのは、おじいさんが作ってくれたブランケット以下、次々にヨゼフの為に有益なものに作り替えてくれ、ヨゼフも大切にする中、お母さんが何度も「もう捨てましょうね!」と繰り返すことです。せめて、「もう捨てなくてはならないのかしら・・・。」位の言葉でしたらと感じておりましたが、お母様は如何お感じになられましたでしょうか。
私の本棚の中の絵本は限られておりますが、その中で物を大切にする気持ちを育てる絵本、と考え、直ぐに浮かびましたのは次の5冊でございました。

家族が子供の為に物を作り与え、子供がそれを大切にするという共通点がございますが、お父さんが息子の為にチェロを作り与えるお話、①「チェロの木」作 いせひでこ 偕成社

ぼうやに与えられたおもちゃのうさぎの胸が痛くなるような切実な気持ちが美しい絵とともに描き出された②「ビロードのうさぎ」マージェリィ・W・ビアンコ原作 酒井駒子 絵・抄訳 ブロンズ新社

与えられるだけで与えることを知らない子供の心に、後の方のことを考える素敵な心の芽を育むであろう③「どうぞのいす」作 香山美子 絵 柿山幸造 ひさかたチャイルド

食べ物を粗末に扱う気持ちにインパクトがある④「やさいのおしゃべり」作 泉なほ 絵いもとようこ 金の星社、同じく、食べ物にしている生き物を題材にした⑤「うたうしじみ」作 児島なおみ 偕成社・・・などでございました。

このように挙げさせて頂きました、5冊の共通点は、前回の授業時に使用した絵本のもっとも大事なフレーズと全く同じ、物を大切にするという気持ちは「やさしさがもたらしてくれる」ということではないでしょうか。物言わぬ物たちの気持ちを考えられる子供、あるいはそれを与えてくれた人の思いを大切に受け取ることのできる子供、その与えられたものの価値を理解できるだけの感受性の備わった子供・・・そうした気持ちが育って、物を大切にする人になっていけるのかもしれません。物も人も、大切にする気持ちに於いては結局は同じことと言えるのではないでしょうか。

ところで、①と②の絵本は、大変美しい詩のような絵、文章ですので、お嬢様がある程度絵本に集中するお力が育っていないと少し分かりづらい点があるかもしれません。ただ、どの場合でも教育とはそうであるように、簡単に読める物ばかりではなく、少し分かりづらい位のものをお子様にお読みになり、お子様が、集中して理解しようと努め、想像し、それでもわからない部分は尋ね、その絵本の内容を味わえた時、それがまたそのお子様の成長の瞬間と言えるのだと存じております。そして、①の「チェロの木」の中の少年である「わたし」が、チェロという楽器の音色に魅せられたように、私もチョコリットのお嬢様方に是非ともチェロの素晴らしい響きを胸の中に刻み、この絵本を理解する助けにもなることができましたら、と願っております。今年のクリスマスコンサートは、開催させて頂く所存でございます。素晴らしいロシアのチェロの演奏家の方にお願いをさせて頂き、ご了承を頂きましたが、後は日程的に合うことを祈るばかりでございます。(6月に決定いたします。決定次第、ご案内させて頂きます。)初代からの会員の皆様から、現在の皆様まで、心よりお待ち申し上げております。2年間、クリスマスコンサートはお休みを致しました。久しぶりの素敵な同窓会になりますように!