本日は、新年中さんのクラスでした。まだ、本当にお小さくて・・・[E:confident]でも、前回の授業の時とは明らかに違うのです。そうです、この短い期間にも成長していらっしゃるのです。今回授業中に気付きましたのは、私の説明言葉までも忠実に再現して下さり、「バッテンにしてから、ネジネジ・・・。」などと呟きながら、何度も制作に挑戦されている点でした。黙って行うよりも、言葉を唱えながらの方が、身に付き方も違うのでは・・・と感じました。何しろ、真剣なのです[E:happy01]これからどんなにお姉さまになって行かれることでしょうか。

また、本日の絵画制作で、サンタクロースが持っている3つのプレゼントの中身の絵を、ご自分が欲しいものではなく、お母様のネックレスと、お父様のお仕事に行くための黒い鞄、そして、最後の一つには、サンタクロースにあげるものを描きたいと言って下さったお嬢様がいらして、感激しました。まるで五味太郎さんの絵本『クリスマスにはおくりもの』に出てくる優しい少女のようだと思いました。ミッション系の小学校の価値の一つは、人の喜びを我が喜びと思える人に・・・という教育にあるのはご承知のことと思います。でも、そもそも、その基となる心の教育はご家庭で生まれた瞬間から続いており、年少さんにして、既にそのお気持ちが育っていらっしゃるご家庭教育の大切さと大きさを改めて思いました。本日の解説のお時間、黒田先生がお隣のお部屋でのおままごとを見ておりました。すると、お嬢様たちは、お互いにお友達が使っているお皿や食べ物は使わなくなるまでじっと待っていて、「それ、使っても良い?」「どうぞ。」「ありがとう。」「どういたしまして。」という会話がごく自然に行われていたことにも感動しておりました。黒田先生はあくまでも控えめに見て下さっていたのです。お子様同士だけの自然に身についていた美しいご挨拶なのです。

先日、この秋にご卒業されましたお嬢様のお父様とお話をさせて頂きました。彼女の受けられましたお試験の中で、ペーパーや行動観察が出来たこと以外にも、(もはや今となってはお嬢様からも、どなたからも聞き取れず、知るよしも無いことですが・・・)大人から見て「なんてお優しいお嬢様なのかしら。」と思うことや、ご家庭での心の教育が偲ばれる出来事が、何かあったのかもしれませんね、ということを申し上げました。その出来事は・・・それは、ほんの一瞬のそよ風の様なひとことであったのかもしれません。もしかしたら、グループに入れないで寂しそうなお友達にかけた「私たちと一緒に遊ばない?」というひとことだったのかもしれませんし、手を優しく繋いであげたことかもしれません。でも、そうしたひとことや、行いの大きさを改めて今、考えているのです。

そうしたひとことが出てくるお子様のご家庭は間違いなく愛情に満ちているでしょう。その愛情は例えば、お母さまがお嬢様の親しいお友達に素敵なプレゼントを差し上げることとは異なり、むしろ、幼稚園のクラス中のお子様に静かな大人としての目差しを向け、見守るお心ではないでしょうか。お嬢様はしっかりと目を見開き、敏感なお心で全てを見ていらっしゃいます。お母様が特定のお友達だけを大切に扱い、その他のクラスメイトにご興味が無いということが、実はお子様の目からはとても意外なことであり、「お母さまは皆と仲良くしなさい、と言っているけれど、しなくて良いのかしら・・・。」と思わせるきっかけになることもあるのではないでしょうか。そして、その傷は案外大きく、成長するに従って小さくなるどころか、ぐんぐんと広がっていってしまう怖さも感じております。古田足日さんの『ダンプえんちょうやっつけた』には、保育園の園長先生を信頼して、全てを委ね、地域中の父母はお仕事に没頭するという、ある意味ご父兄対幼稚園や保育園との理想の姿が描かれているのを感じます。子供の世界を上手に広げ、個々の成長を促すお手伝いをするのが園長先生の役割であり、子どもたちは保育園中で団結し、心と体を思い切り使って野原を駆け回り遊ぶのです。子供も無心、そして、もっと子供たちの心を大切に育んでいるのは大人の無心ではないでしょうか。この海辺の町の親達はもし仮にこの保育園の子供が一人いなくなろうものなら、夜じゅうも総動員で野山を駆け巡り捜すに違いありません。何故なら、ここの親たちは、自分の子供のみに目を注いでいるのではなく、全体を見つめているからです。もし、親が個々の子供のみに注視し始めれば、その時が、全体での子育ての終わりの時では無いでしょうか。こう考えますと、親の子どもたち全体を見守る眼差しは個々の子供を繋ぎとめ、子供達の築いた輪を外側から守るバリアの様な役割すら在るのかもしれません。一年生になって、「お友達100人出来る」のかは・・・100人の親が100人を同じ小学校の小学生として外側から全体として見守ることで可能になるのかもしれません・・・。