昨日は久しぶりのお休みでしたので、学生時代からの恩師へのお手紙を書かせて頂くという、幸福な時間を過ごしました。勝手に、アンドレ・ドーテル(フランスの作家で、今回初めて知りました!)の作品についてのレポート迄書いてしまいました[E:sweat01](お忙しい先生のお目汚しですね!申し訳ございません[E:happy01])そして、少しでも早くお送りしたくて、横浜駅の郵便局に駆けて行ったのですが、先生は以前モーツアルトの研究書も訳されて出版なさっておられる為、どうしてもモーツアルトの切手を貼ってお出ししたく、あと数分でクローズする窓口の方に、「これでお出ししたいのですが」とお願いし、足りない分は、レンゲに止まったミツバチの切手になりました。(いつも、思うのですが、もう少し、合わせて貼ってもマッチさせやすいデザインの切手がほしい時があります)さて、郵便局を後にした私は、まるで論文を出し終えた後のような爽やかな気分になり、新年少さんの個別ご指導で足りない教材の材料を買いそろえ、帰路に。(新年少さん、今日、その教材でものすごく集中力を発揮して下さり、良かったです!可愛くてたまりません!)地下鉄の駅から、家まで歩く間、ふと見上げた空に、電線にかかる三日月が。まるで五線譜の上の音符の様だけれど、三日月型の音符は、一体どれくらい伸ばしたら相応しいかしら。なんて、ふと、思いました。
・・・それにしましても、本当に、本当に、今回のアンドレ・ドーテルの短編集は美しすぎました・・・。
ことに、今回、開眼させられたのが、恋よりも美しい感情が人と人の間にはあり得るのだという可能性。そして、神様の御意志により張り巡らされた運命の出会い、縁のようなものも確かに存在するのではないかという事です。・・・なぜ、今まで、恋より美しい感情があると考えたことなど無かったのでしょうか。・・・それほどまでに、私はこの文章のつかの間の(おそらくは数分間の)、そして無言の、軽やかな踊りの様な出逢いと別れの美しさに圧倒させられ、納得させられたのでした。まるで無声映画を目の当たりにしているような、夢のような、そこはかとない気品に溢れて。そして、もしもそうであるのならば、他にも、私は様々な物事に、勝手に既成の限界を作って来てしまっているのだろうか、という懸念も抱きました。もしかしたら、言葉にも限界があるのかもしれない、「恋」「愛」「憎しみ」「喜び」「悲しみ」「苦しみ」という言葉の枠に収まり切れない程の感情が、あるのかもしれない。そんなことをあれから折りに触れ、考えているのです。
また、面白い発見もしました!マリー・ホール・エッツの絵本、「わたしとあそんで」の女の子と重なる部分があるのです。女の子は、最初に虫やカメ、リス、ウサギ、ヘビ等に、「あそびましょ」と言ってつかまえようとするのですが、みんな逃げて行ってしまうのです。そこで、女の子は池のそばに腰かけて音をたてずにいると、やがてすべての生き物達がそばに寄ってくるのです。最後に来たシカなどは、息をとめていると女の子のほっぺたをなめてくれるのです。アンドレ・ドーテルの作品で繰り返される、ありそうに無い出会い。まるで、ドーテルは、何事にも理由がつかなければ納得しない我々に対し、出来事と言うよりは、むしろ現象として、そうした不思議な出会いを繰り返し我々につきつけて来るのです。ひとつの短編の中においても、また、どの作品の中においても。それら、ありそうに無い偶然の出会いを引き寄せるのは、そうしたことが起こっても、不思議だとは思わずに黙って受け入れる「沈黙」とそして「受け身」の姿勢があげられると思うのですが、まさに、子供はそうした世界の渦中にいる存在と言えますね。長田弘の詩集『人生の特別な一瞬』の中の一編に「ささやかなミステリー」があります。曲がり角を曲がっていった猫も、少女も、子供のころの風鈴売りも、皆姿を消してしまう。曲がり角では、いつだってそうだ。という内容なのですが、大人の私達には、曲がり角を曲がっても、今いたものがいなくなるなんてありそうに無いばかげたこととして、片づけ、忘れてしまいがちです。でも、もしかすると、本当に猫は、
曲がり角で居なくなっているのかも知れません。見失ったものを求めて、いつまでも地面にしゃがんで何かを考えている子供には、本当に風船売りがどこに行ったのかが、分かっているのかも知れません。
ともあれ、神様の張り巡らされた、御縁、と日本語であらわせる筈の綾糸を感じながら、また、待ちながら、生きて行くって素敵なことであると思いませんか?これまで以上に、ひとつひとつの出会いを大切にしたい、と思うのです。私のブログに辿りついて下さった方々とも、知らない間に出会えているのですね!もしかしたら、実際にはこれからもお目にかかれないかも知れませんね。でも、見えない御縁の糸でこうして出会えたことを大事に思い、これからもブログを書かせて頂きますね!いつも、読んで下さいまして、本当にありがとうございます!