涙が堅くなった心を溶かしてくれるのであれば、間違いなく、この絵本はもうすぐ受験期を控え、子育てに悩まれるお母さまの為にも読まれるべき絵本ではないでしょうか。

『いいこってどんなこ?』 作:ジーン モデシット  出版社:冨山房
ウサギの子供が、お母さんウサギに尋ねるのです。「泣かないのが良い子なの?」「馬鹿な子はきらいだよね?」次々、出される質問に、お母さんウサギは本当にやさしく答えています。かなり、大人であるとも言えるこのお母さんの返事を見るたびに、もしも、同じ質問を子供がしたら、これ以上の答えがあるだろうかと思うのです。ウサギの子供は、なぜそんな質問をするのでしょう。理由は、唯一つ、お母さんが大好きだから。子供は何よりも大事で大好きなお母さんが自分のことを愛してくれているという安心感を得たいのです。無償の愛の筈であるお母さんの愛情が、ふと心配になる時があるのです。もしも、自分を嫌いだったらという疑いは、それは奈落の底を思わせるような不安を駆り立てることでしょう。きっかけは、ごく些細なことでしょう。でも、この絵本のどのページからも、「泣かない良い子になれば、私のことを嫌いにならない?」という質問が聞こえて来ませんか?そして、胸に突き刺さるのが、このウサギの子の質問の内容です。知らず知らずに、もしかしたら私たちが子供に要求し子供に突きつけてしまっているかもしれない内容ばかりです。「そうよね、心配になったのね。そんなことを思わせてしまって、ごめんなさい」と、この絵本を読みはらはらといまだに涙が出る私は、いったい・・・。母失格かもしれません!本当に、すみません!(いまさら誰に?[E:happy01])子供の向上心とお母さんへの愛情は特に幼い子供にとっては無意識に切実なものであり、切り離せないものなのでしょうね。

『ぼく おかあさんのこと・・・』 作:酒井駒子 出版社:文渓社
この絵本も、「あなたは悪い子!」と簡単には言えないと気付かせてくれる絵本です。子供がおとなにとって、一見わけのわからないようなことを言って困らせていても、もしかしたら
不器用に親の愛情を確かめたいのかも知れないのですね。子供と同次元になって、怒ったりせずに、もっと大人の母にならねばと気付かされます。最後のシーンのかわいらしさといったら!思わず、絵本の中のウサギの子(そうなんです。この絵本も主人公はウサギの子です)をギュー!!っと抱きしめてしまいたくなります!まだ、抱きしめられるサイズのお子さまをお持ちの方は、代わりにお子さまを抱きしめてあげて下さい[E:happy01]

そして、最後に・・・!夏の夜に最高に心地良い詩のような響きの訳文と、マッチしすぎている美しい絵の絵本をご紹介させて下さい!

『むぎばたけ』 作:アリスン・アトリー 訳:矢川澄子 絵:片山健  出版社:福音館書店
・・・何も、言うことはございません!この絵本を私のつまらぬ言葉で評したくもありません
。ただ、この絵本を手に、夏の夕べをお子さまと過ごされたならば、お子さまも、あなたもしみじみとした喜びと感動に浸れる筈です。つまらぬことは言わない筈でしたが、一言だけお許しください。少し前のブログで書いた、「おさびし山」の頂上で私が見た草原は、ちょうど、3匹の見た小麦畑にそっくりでした!・・・こんな贈り物を私たちは無数に頂いているのですね!その喜びに気づけば、あと他に、何が必要でしょうか?