久しく、ブログから遠ざかってしまっていて、ごめんなさい。カリキュラムの構想と準備、各小学校の説明会めぐりなどで、飛ぶように日々は過ぎてしまっておりました。昨日の横浜の精華小学校の説明会で、前の幼児教室で担当させて頂いていた、年中クラスのお母様や年長クラスに上がられたお母様方との再会があり、このブログをお読み下さっていると伺い、本当に嬉しく、エネルギーを頂けました。逢いたくてたまらないこの気持ちをお分かり下さって、あるお母様はあの可愛いご本人を、連れてきて下さって![E:shine]随分、ご成長されましたね!嬉しかったですよ!皆さま、私はいつもここで、応援しています!お気持ちが大変な日は、見えないところでも応援している人がいることを思い出して下さいね!

それでは、説明会での、素晴らしいお話のおすそわけです。

カリタス小学校の校長先生は、説明会で「現在、この国では、人を生かしていくためのものが希薄になってきている」ということについてのお話をされた。自殺者の多い日本。それは、必ずしも経済的なこととは、一致しない。例えば、フィリピンなど、自殺者の少ないアジアの国のお話をされた。フィリピンは息子が現在タガログ語を学んでいる関係で、よく色々な話を聞かされるのだが、この校長先生のお話を家ですると、本当にフィリピンの方たちが仲間同士で親しみ合い、その輪を大切にしていることを話してくれた。自殺者の多い国と、少ない国の人それぞれに、アンケートをとったら、興味深い結果が出るかもしれない。色々な項目を前に、「あなたは、何が一番大切ですか?何に価値を置いていますか?大切なものの順に、番号をふって下さい。」として、集計して出来た両国のグラフが描く山の曲線は、どれだけかけ離れているのだろうか。カリタスの校長先生は、かつて、この国の人を支えていた、家庭、学校、会社などの基盤が薄れてきていることをお話されていた。だからこそ、「神様が与えてくださった生徒の1人1人の輝きを大切に」、というお言葉にも重みが出てくる。そうしたことを考えている校長先生のいらっしゃる学校。そして、そうした考えを支えるキリスト教教育は、この心の活力を無くしてしまったかのような子供の増えている現在、私には大変重要性を持ち、心に迫った。先生は、「どんな子でも、神様から与えられたすばらしいものがある。与えられた能力もそれぞれ違う。駄目な部分も、まるごとその子を認め、また、嬉しいこと、悲しいことを共感してあげることが大事である。子供は、本当に共感してあげると目が輝くのです。」ともおっしゃった。

カリタス小学校の校長先生のお話は、本当に深く、心が洗われる思いで聴き入らせて頂いた。派手な宣伝めいた話題は何もない。静かにご自身の宗教観、教育観について語られているのである。お話を伺っているうちに、涙だけが、こぼれてきた。少しも悲しくないのに涙が止まらない。そんなにも、私の心は汚れていたのだろうか。これは、めったにない感激の涙なのだ。心から溢れてくる感じだ。

・・・そんな、心洗われる説明会でのお話が、もうひとつあった。東洋英和女学院小学部の部長先生のお話である。

東洋英和の小学部山本香織部長先生のお話は、また、なんと魅力的だったことだろうか。最初から最後まで、本当に夢中で聴かせて頂いた。中でも、心に残ったのは、建学の精神である、「敬神」(神を愛する)「奉仕」(友を愛する)が、どんなにたやすいことでないかということについて、20年前に、ある県で起きた中学生の自殺を取り上げられ、具体的なお話をされたのだった。その中学生は、いじめにあっていた。小学校卒業の寄せ書き帳に、「お願いです、死んで下さい。」と書かれ、ある女の子は「○○から、身を守る方法」と称して、手をバツにして、十字架をにぎった女の子のイラストを書いていた。その女の子は、日曜日に教会に通っていたのである。どこにでもいる、おそらくは快活な少女が、少年の死に関係したことに触れられ、部長先生は、「人を愛する心を持つ難しさ」について、お話された。私もキリスト教の学校に通っていた。しかし、当時はキリスト教に心を閉ざしていたのか、この部長先生のひとことが、初めて聴いたかのような鮮烈さで私の心に響いたのである。「人を愛しなさい」とは、長い年月にわたり言われて来た。しかし、「それが難しいことなのだと、神様にも分かってしまっている。」と、私は思っていなかったのである。「愛するのはたやすいことであり、人の務め。それが出来ない人は、失格であり、神に嫌われてしまうのではないか。」と思っていたのに、神はお見通しであるとは・・・。今頃、そんなことに驚いている私に、神様もびっくりかもしれない(笑)

私は、キリスト教者ではない。が、しかし、私が心から尊敬する大学の恩師が、ご研究を重ねられるうちにマルセル・プルーストとキリスト教などの宗教を合わせてお考えになるようになられ、最近も、論文を拝読させて頂いた。・・・何か、少しずつ、少しずつ、私もキリスト教に心が向かいつつあるのを感じている。少なくとも、そうした宗教の教えに立ち返りながら子供の教育に携わるべきなのでは、と、今、考えているのである。

カリタス、東洋英和女学院、それぞれの教育の素晴らしさは、学校生活を送る子供たちの笑顔にも表れている。「喜びのある生活」(カリタス)「愛されているのが分かり、安心している子供」(英和の部長先生のお言葉)達。東洋英和のDVDで、自分たちが卒業するのに、退職される先生のお名前を聴き、涙にくれる子供たちを見て、「深く喜べる子供は、深く悲しめるのだ」という、佐々木正美さん(児童精神科医)の著書『子どもへのまなざし』の一節を思い出した。心の教育を重んじる学校。本当に大事な教育である。