こんばんは。皆様、今年も大変お世話になりました。
素晴らしいお子様やご家族様皆様に出合えましたこと、本当に、おひとりおひとりに、感謝しかございません。
新年を迎えようとする今、皆様はいかがお過ごしでしょうか・・・。

毎年、このお時間は来年の抱負を新しい手帳の一ページに書き纏めております。ただ思いつくままにと申しますよりも、今年を省みて、微かにまだ心の奥底でチカチカと輝きを放つ出来事を拾い集め、全てを掌に並べてみますと、まるで星座のようなおぼろげな纏まりが感じられ、私に指し示されている新たな指標を得るような心地が致します。それは、もしかしたら、以前にも書かせて頂きました「神様のデッサン」に触れるような、対話のようなことなのかも知れません。
省みますと、私の胸に瞬く出来事は、「黒姫童話館」での紙芝居「のばら」(小川未明 原作 桜井誠 画 堀尾青史 脚本)との出会いがその始まりでございました。美しいとしか言いようのない童話館を訪ねること自体、何かとてつもなく美しい世界へと奇跡的に足を踏み入れることを許されたかのような感動がございます。その中で、無防備にも「のばら」に出合ってしまいました私は、ただひたすら流れる涙を止めることが出来ず、自身でも驚いておりました。その後、訪れた際に出合った「つきよとめがね」(全て「のばら」と同じ著者による)や「ハボンスのしゃぼんだま」(豊島与志雄 原作 桜井誠 画 稲庭桂子 脚本)を前にした時にも、胸が揺り動かされる程の感動を覚えました。作品の静謐な美しい輝きのみならず、原作者、画家、そして、脚本家それぞれが、自身に与えられた手段を用い、子どもたちへ「美」を差し出すこと自体の素晴らしさに直に触れた思いでした。

以降、以前にも増して様々な古い紙芝居や絵本や児童文化を掘り下げる著書や雑誌などに触れるうちに、昭和以前の日本の児童文化への大人達の情熱の深さに驚嘆し、子どもたちを質の高い精神的且つ知的な経験へと導きたいと願う妥協を知らない志の高さこそが、まさに、子どもたちの心身を豊かに育み、支えていたのだと痛感致しました。これ程の児童文化の豊かさや情熱はどこに行ってしまったのか、私が知らぬだけなのか、矮小化され、もう既に枯渇してしまったのではないかと焦りに似た思いを抱きます。
そして、今、僭越ながらも、お子様に関わらせて頂くひとりとして、幼児の世界として現在認知されているよりも遥かに豊かで広く深い、これらの世界の志を忘れず、私に出来る方法でこれまで通り、誠心誠意行なって参れば良いのだとの力強い指標を頂いたように感じております。

ただ今、0時を過ぎました。皆様、あけましておめでとうございます。
新たなこのお年が、皆様が積み上げて来られましたご苦労が喜びへと変わる一年でありますように、切に願っております。

楽しいお正月をお過ごしくださいませ。本年もどうぞよろしくお願いいたします。