晩秋の、熟れたような果実色の黄昏時に、主人と横浜の元町を歩きました。静かに音楽が流れ、人々が早くも灯され始めたクリスマスのイルミネーションの横を、犬を連れ、音も無く、流れるようにして歩いて行かれる、しっとりとした街の様子に、「絶対に平日の方が良い雰囲気」と、話し合いました。横浜元町の裏通りには、知らぬ間に素敵なお店が増えているのにも驚きました。なんと、フランスのボタンだけを扱われる専門店まで発見しました。ずっと昔に、初めてパリに参りました時に、小さな手描きのサクランボの絵があしらわれた木で出来たボタンを購入して参りました。その時に、魅力的なボタンの数々に、「フランスのボタン屋さんを開きたい!」と考えたことを思い出しました。その他にも、元町には不思議な専門店が横道に潜んでいます。幸せを運んで来るという箒に乗った魔女の飾りが店内にひしめき合うお店もあり、ランプの光が眩い夕暮れ時には、煉瓦造りの多い街並みは一層秘密めいて参ります。年長さん達を送り出させて頂きました、このホッとするお時間に、ふと、お散歩に出掛けたくなる素敵な街です。皆様も如何でしょうか?

クリスマスコンサートのお知らせを、ようやく皆様にメールでお届けし始めました!満を持して・・・と、申しますより、大変遅くなりまして、申し訳ございません。11月の発表を皆様から伺わない内は、どうしてもご連絡出来ませんでした。まだ、お送りできていない方や、何名かの方はアドレスが変わられた方もおられ、もし、宜しければ、皆様にご連絡させて頂きたく、メールが今週中に届かない方がいらっしゃいましたら、ご連絡を頂けましたら幸いに存じます[E:clover]そうしている内にも、皆様からのご返信を頂き、お電話を頂き、心より嬉しく、有り難く存じます。ただ、お嬢様をお預かりさせて頂きましてから、歳月が流れ、志望されます小学校を一心に目差されました時から時流れ、様々なことが皆様の上におありになりますことにも出会い、今、様々な思いが胸の内には溢れております。今回のコンサートは、しかし、あのロシアの絵本「てぶくろ」の様に、様々なものを抱えながらも、小さな小さな手袋の中にぎゅうぎゅう詰めになって皆様で集い、心も身も温めあう・・・そんな会であればと願っております。ロシアの雪原に響くチェロの様に、12月のクリスマス前の冷たくなり始めた空気の中で、感覚を研ぎ澄まして受け取る音のオーロラの様なうねりは、私たちの友情の上に、大きな感動を伴って降り注いで来ると存じております。今回、どうしてもお越しになれないお母様とお嬢様のことを、コンサートの間も片時も忘れずに、また来年お目に掛かれますことをお祈り致しております。

本日は、母の命日でございました。実家には帰れず、母にお祈りし、まだ何か・・・と考え、母の大好きでよく口ずさんでいたエドガー・アラン・ポーの詩「Annabel Lee」を読んでみました。読んでいるうちに、母の声が思い出されました。私がまだ36歳の時に若く、美しいままに、「海辺の王国」に旅立ってしまった母でした。私は、母から頂いたいのちを大切にしようと改めて思いました。私のすること全てを尊重してくれた母の眼差しが、今も私の背中を押してくれます。童女の様に純粋であった母の用意してくれたお誕生日を、忘れることは出来ません。中でも、お友達と私の為に一人一人のお皿に飾られた絵画の様なご馳走(勿論、心ばかりのものですが)は今でも、その色彩とともに鮮やかに心に残っております。おみかんの中身をくり抜いて、バスケットの形にした中には可愛いサラダが入れられ、その持ち手には可愛くリボンが結ばれておりました。また、小さなウズラの卵の茹でたものを、前日から生姜の食紅でピンクに染め、器用に先端を切り取り、ゴマで目をつけてヒヨコかお人形さんのように飾り付けてありました。小さな林檎には、沢山のスティックが刺さり、その先端にはお花の様に一口大のウインナやフルーツなどが飾られていました。母は大変お料理が得意でしたから、絵の様に彩よく飾られたちらし鮨や、子供の好きなスパゲッティやハンバーグなどがお皿の上で遊園地のように賑やかに並べられていたのです。それを見たお友達たちは、一斉に歓声をあげて喜んでくれました。・・・思い出そうとすると、ありありと当時が浮かんで参ります。そして、愛されていたのだという思いに、心が温かく満たされます。…チョコリットの皆様が、現在、お嬢様に何気なくなさっておられることも、時を経ても色褪せず、大人になられたお嬢様を時を経て励まされるようになるのではないでしょうか。お試験の前夜、小さなお声で子守唄を歌って差し上げたことも、お嬢様と寄り添われたお母様の何気ないお言葉や仕草も、お嬢様は全部有り難さとともに、忘れないのだと思います。