各ご家庭で起こる出来事の全ては、そのご家庭だけの物事であり、他所の人はそれを覗き込んで喜ぶことも、悲しむことも一切が許されてはいないのだ、と思っております。・・・冷たい言い方でしょうか。でも、逆に想像しましても、例えば今回の息子の就職に関して、お隣の方に喜んで頂きたいなどとは微塵も感じませんし、また、何か我が家の悩み事を洗いざらいお話して解決策を仰ぐ・・・なども考えられないことなのです。しかしながら・・・こと受験の結果に関して、我が子の結果やお友達の結果が、まるで共有すべきことのように扱われる場合がままあるのです。それこそ、こんなに個人的なことがあるでしょうか。どなたが同じ小学校に合格したか、など、その小学校の制服の採寸に行って分かれば良いのではないでしょうか。合格された親御様も、まだ結果がこれからの親御様も、お子様には「言うべきことではないのよ。来年の春までに決まることなのよ。」とお話頂けましたら、有り難く存じます。

・・・こんなことがございました。息子の中学の合格発表の日、同じ小学校のお母さまが、お二人で当たりを憚らずに手を取り合って泣いていらっしゃいました。しかし、合格者の説明会の為に、私が息子のお友達のお母様と並んでいると、先程泣いていらしたお母様が満面の笑顔で駆け寄っていらして「*さん、お可哀想だったわ。私、今までずっと一緒に泣いちゃったわ・・・。」とおっしゃったのです。・・・これ程、爽快な人のお顔というものを見たことは無い、と感じた、あの時の言葉に出来ぬ不快な気持ちは、何年経っても消えてはおりません。

順番、なのです。いえ、順番とも言えませんね。もっとアトランダムにある日突然、人生の喜びの星のかけらは空から舞い降りて来るように思います。私たちがエプロンを広げてどんなに待っていても、同じ時には落ちてはこないし、その数もまちまちです。数年後も数十年後も、星のかけらの数は、お互い、減ったり増えたりの繰り返しでしょう。そんな時、ご家族様で「今日は星は落ちてこなかったね。」と話されて、それで完結で良いのです。「星が落ちてきた。綺麗な星だ。家に飾ろう。」と、ご家族様で喜べば良いのです。くれぐれも、昔の時代劇のように障子の影から「・・・お話は全部聞きましたよ。」などと現れる方に、大切なお子様に関わる極めて個人的なお話や胸の内をお明かしにはなりませぬよう。なぜならば、その星の輝きは、そのご家族様だけで喜ぶべき性質を持つからで、玄関に掲げて人に見せる為のものでは無いからです。私どもの教室でも、個人情報の扱いは何よりも気を付けており、皆様を余計なご心労よりお守り致しております。