昨日六本木のペーパー演習クラスの前に、前回の記事の絵画の謎?について、ブログの2枚のお写真のうち、上の絵画を描かれたチームのお嬢様に伺ってみました。「このお家についているマグカップの取っ手のようなものはなあに?看板かしら?」「・・・それはカップの取っ手です。」「え、お家じゃなかったの?」「これは、ドアから入ることも出来て・・・お窓からお外も見ることも出来る・・・あの、これね、遊園地のコーヒーカップです。」・・・まあ、そうだったのですね!納得致しました。そんなコーヒーカップがあったら、素敵ですねー!でも、お家型のカップはスリル満点かもしれませんね。謎がひとつ解けるとすっきりしますね。こんな風に、絵画に描かれた謎を直接画家に尋ねられたら、どんなにすっきりとするでしょうね。まあ、尋ねても答えるのを拒否されるだけかもしれませんし、聞いてしまったら、聞かなければ良かった!という事実も出てくるのでしょうが(笑)
そして、昨日お風邪でお休みされたお嬢様のお母様から、次のようなメールを頂いたのです。お嬢様に絵画のことをお聞きになって下さったのです。私のコメントを挟みながらその一部を掲載させて頂きます。

<・・・(略)・・・娘は先生のブログの中の下の絵のチームでした。まず、タイヤを描いたのが娘だと言う事が判明しました。あの突起は娘がいつもバスを眺めていて「タイヤって丸いけどつるつるではなく、実はでこぼこしているんだなあ」と思っていた事を描いたそうです。先日の大雪で主人が必死にタイヤにチェーンをかけて出かけた際、そのお手伝いをしたのでタイヤを見続けて「タイヤっておもしろい」と思ったそうです。>

素晴らしい観察眼ですね。私も、タイヤを描かれたお嬢様が幼稚園バスのタイヤをじっと見つめていらっしゃるような光景が浮かんでおりました。

<そしてバスの左横、リスのような動物が丸いものの中に描かれている部分、あの部分も娘が描いておりあちらはメリーゴーランドなんだそうです。よくよく見ると動物の頭にとってのようなものが描かれています。赤いのはメリーゴーランドにある椅子状の座るものだそうです。>

これには、驚きました。そういえば、「何故、リスが赤いお洋服をを着ているのかしら・・・。」とおぼろげに思っておりました。まさか、メリーゴーランドのアトラクションであったとは!

<そしてディーゼル車の煙のようなあの部分も娘が描いていました。これ煙?と聞くと時間がなくてあのようになってしまったのだけれどあれはジェットコースターの線路でものすごい早さで走っていて目に見えない程のぐるぐる感を出したかったんだそうです。>」

良く拝見しますと、バスの煙?の下に一生懸命何かを書き表そうとした跡が残っておりますね。

<バスの下をすべてピンクに塗ったのは「桜の絨毯」だそうです。去年家族でお花見した時に桜の絨毯の上をドライブしたりピクニックしたりしたことを鮮明に覚えていました。音符をどなたかが絵描きだし、みんなもそれを真似して音符をかいているうちに本当にみんな鼻歌が出てとても楽しい気持ちになったとのことでした。細かく聞くといろいろな思い出や子供の想いがつまっていてとても温かい気持ちになりました。まだ年中とはいえ、どのお子様も素晴らしい感性の持ち主で今回の共同製作の絵には本当に感動致しました。>」

お母様のメールを拝読し、改めて絵は指先でクレヨンの辿ったあとを残すのではなく、そのお子様のこれまでの経験、思い出、様々に感じた気持ちなど、そのお子様の世界を誠実に表そうと努力した後であることを思いしめました。それにしましても、なんとも素敵な世界ですね。

絵はお子様のお心を解き放ってくれますね。皆様で、お心を合わせて「桜のじゅうたん」を塗り、音符を描くころには、どなたもすっかりこの絵の中に入り込んでおられたのでしょう。集団制作絵画を描きながら、まるでおままごとのようにそれぞれが白い画用紙に思いを投影し、遣り取りを重ねていかれるのですね。今回、同じ絵画のグループであったもうお一人のお母様からも、メールを頂きました。<模擬試験の集団製作絵画を改めて拝見致しました。私も、出来上がった物を見た際には4人で一気に描いたとは思えないまとまりに驚きました。幼稚園では個別に絵を描くことがあっても、数人で1つのテーマについて描くということはあまり無かったようなので、最初は娘も戸惑っておりましたが、段々とその楽しさがわかってきたようです。(以下略)>こちらのお嬢様は、ご入会されてまだ2か月です。共同作業で、お心を通わせることが出来る、協力し合うのが楽しい、という経験が、お嬢様のお心を外へと導き、積極性を養ってくれることにも大きな役割を果たしてくれるのだと存じます。お友達には心を安心して開いて良いのだ、という経験は、これから先、もし意思の疎通が円滑ではないグループに入っても、普段からお心を閉ざしてしまっている環境にある方よりも、よほどお心の中に強い耐性を育んでいらっしゃるのだと考えております。今回の絵画を拝見していて何だか楽しくなるのは、以上のようないきさつがあったからなのですね。