_11_2今日は国立音楽院の補講の日でした。先週、授業に向かいましたら、廊下に一人の学生が待っていらして「先生、サイン下さい。」と言われるのです。お断りしましたが、結局クラスで一緒に撮ったお写真の裏にぎこちなく名前を書く羽目になりました・・・。ついでに「バレンタインですから。」とチョコまで頂いてしまいました。・・・毎年、4月に出会い、本音でお付き合いし、翌春にお別れが待っている。この20年間で出会った学生の数を数えますと、驚きを覚えます。どの学生も本当に素晴らしいカリキュラムを提出して下さいました。どうせ書いて差し上げるのならば、名前などより、お幸せをお祈りいたしております、と書かせて頂いた方がよほど良かったと後で思いました。今日の授業では「ダルクローズ=リトミックが<喜びのメソッド>であると最初の授業でお話ししましたが、一年間が終わり、あなたが感じたリトミックの喜びについてお話しして下さい。」という問いに、私が一番大事に考えている2点を挙げて下さった方がいらして感激しました。また、本当に自分が望んでいる伴奏はどんな楽譜の中にも無く、自分の内にあることを知った学生は、これからさらに勉強し、自分の本当に望む伴奏が弾けるように努力すると話して下さいました。絵本の世界を音楽に融合させてお子様たちが心から楽しめ、沢山のことを学び、集中できるカリキュラム作りをこの一年間ご一緒に学んで参りました。皆様はいつも弾けるような笑顔でいらっしゃいましたね。ずっとご活躍を楽しみにさせて頂きます。お元気で、頑張って良い講師になってくださいませ。

音楽院を出ようとしていると、同じように帰宅する学生に出会いました。お蕎麦屋さんにお誘いし、横に並んで座りました。まだお若く、笑顔の素敵なとても大人しい彼女ですが、今日発見したことがありました。それは、私が黙っていると、彼女のテンポで淀みなくお話しして下さるということ。小さなお子様もそうですが、ひたすら聴く、ということに徹すると、激しい流れではなく、優しい水音の小川のようなその方のお話しが聴けるのだということを実感したのでした。

さて、その後、私はそごう横浜の美術館で「クライドルフの世界」というそれは素敵な展示会に参りました。スイスでの療養時代から生まれた植物や昆虫がモチーフとなり、高山植物の花びらのお花のお帽子を被ったり、花びらのドレスを着たりしている妖精や小人たちの絵の愛らしく素敵なことと申しましたら!皆様お忙しいことと存じますが、2月24日までと書かれておりますので、お近くの方は是非お勧めです。私は2時間ほどおりましたが、少し見づらい・・・?そうなのです。お子様も楽しめるように、額の展示位置が低めなのでした。(少し、腰が・・・(笑))そしてひらがなの解説も在りますし、ところどころに作品案内のボードの妖精さんが作品の中の秘密やヒントについて教えてくれたり、「この絵の小人さんたちは、何故怒っているのでしょう?」といった、なぞを問いかけたりしていて、いらしていたお子様たちも楽しんでいらっしゃいました。勿論、大人にも参考になることばかりです。
中でも・・・驚いたのは、白雪姫の7人のこびとには3人のいとこが居たことを皆様ごぞんじでしたか?本日一番彼の作品の中で気に入った絵本「ふゆのおはなし」(福音館書店)を出口で購入致しました。また、六本木クラスで7人と3人をあわせた10人の小人さん達と仲良くお食事をとる白雪姫を皆様のお目に掛けようと存じます。
最愛の弟さま、お姉さま、お母さまをたて続けに亡くし、療養の為に学校を中断し、スイスへと向かうクライドルフ。数か月療養する筈が6年も過ごすことになる豊かな自然の中で、クライドルフは運命的に彼の作品を創り上げて行ったようです。彼の作品の素晴らしさのひとつには、その植物が持つ特性そのものが、その植物から生まれた小さな妖精や人の特性になっているという点で、例えば人々に安らぎを与えるバニラの精は、自分も木の上で微睡んでいる、という面白さがあるのです。また、多くの作品の前で、思わずクスッと笑えてしまうような愛らしさに満ち溢れていて・・・例えば、ねこやなぎの枝にとまっているのが本当に小さな小さな子猫だとしたらどうでしょうか。今日はまさにクライドルフの夢の宝石箱の中に入り込んだように思えるのでした。何より、六本木教室のお子様、そしてご卒業された妖精や小人が見えるとお話しして下さったお嬢様たちに見せて差し上げたい!と強く願いました。
皆様、お元気ですか?