月曜日の新年長さんクラスが終了した後のことです。合格されたお嬢様がおばあ様、お母様と会いにいらしてくださいました。そのお嬢様がお書きになった私へのお手紙をお届けにいらして下さったのです。つい先日、当たり前のように教室の入り口に立たれていたお嬢様が、今はもう先輩のお姉さまとして入り口に立っていらっしゃるということがなんだか不思議に思えました。そのお嬢様は、そうして入り口に立たれ、私が出迎えますと、ふっと涙ぐまれたのです。先日お別れしてからの短く、そして長い長い苦しかった日々。何もおっしゃらなくても、『先生、私、今日まで精一杯頑張りました。』というお気持ちが伝わってまいりました。手にはまだ、お守りが握られていました。手渡して下さったお手紙を、私は夜遅く、静かになったお部屋で開かせて頂きました。可愛い便箋が器用にハート形に折られています。そのハートの窪んだところから、彼女の明るさを表しているかのような黄色と橙色で丁寧に塗られた切り紙で作った飾りが、まるで小さな太陽のように覗いていました。私はハートの形を崩さないように、そっと便箋を開きました。すると、中には「**より かんどうもありがとうございました。これからもよろしくおねがいします。」と書かれ、イルカとペンギンが描かれていました。感動・・・彼女はお試験での様々な思いを「感動」と私にお話しして下さったのでしょうか。私は彼女がこのお手紙を書いて下さった日のことを思いました。それは、合格を彼女が知った日ではなかったのです。お試験を終え、帰宅した夜に、突然、机に向かって私宛にこのお手紙を書いて下さったそうです。合格できて嬉しい!という思いではなく、このお手紙は、ご自分も疲れて大変なのに、「お試験を受け終わりました。」というご挨拶文だったのです。静かな感動に、私はしばし言葉を失いました。「なんて、素敵な女性なのかしら。」そのようなお手紙を書ける彼女は、もう、一人前の素晴らしい女性であるように感じさせられたのでした。これからですよ。皆さまの本当に面白いと思えるこの世の中を知るお勉強に出会い、多くの体験をされ、沢山の感動を味わって行かれるのは。お試験が終わられた今から、どうか、思う存分、皆さまの好奇心を満たしていって下さいね。
今回のお試験の間中、多くのお母様方から沢山の感動するお話を頂きました。心の教育を大切にして育てられる価値には計り知れぬものを感じます。また、ひとつひとつ星のように私の心の中に輝いて消えぬお話をさせて頂きますね。