本日のペーパー演習クラスで使用するお話の聞き取り問題を作成しながら、五番目の問に対し、皆様がどのような解答をされるか大変興味があったのです。すなわち、「良いお誕生日とは?」という問いです。結局、今日のお話の主人公は、牛のお産に立ち会って手の離せないお母さんの代わりにおばあさんに教えて貰いながら自分やお友達でご馳走(自分達で摘んで巻いた笹巻き、自分達で収穫したとれたてのさくらんぼ、自分達で拾った産みたての卵のゆで卵)を用意して、最後は生まれたての子牛の誕生まで祝福するのですが、勿論お母さん手作りのケーキなど、所謂お子さまが考える普通のお誕生会では無かったのです。しかしながら、何人のお嬢さまが、この主人公を取り巻く豊かさ、楽しさを感じとられ、それを「良いお誕生会」と位置づけることが出来るのか、大変興味を持って授業に望んだのですが、結果から申し上げますとまだまだ皆様、難しかったのでしょうか…。
「良いお誕生日」イコールお母さんが全部手のこんだご馳走を用意してくださって、お友達が購入したプレゼントに綺麗なリボンを結んだものを手渡ししてくれる会なのでしょうか。
この点をお嬢さまとしっかりとお話し合いされますことは、お嬢さまのご成長の為にも、そしてミッション系小学校のお試験のご準備にとりましても欠かせないことではないかと思っております。
与えられるばかりが愛では無い。幸せは座ったまま降って来るのを待つのでは無い。座ったまま手に入れたつかの間の喜びは、まるでスフレのように、ふんわりとした喜びを感じる間もなくしぼんでいってしまう。みんなで一緒に分かち合い、与えあうことこそ本当の幸せな姿ではないかと思うのです。絵本は、お子さまの心に、そうした作者の思いをじっくりと蓄積していってくれるのではないでしょうか。
今日の授業では「絵本の最後には目に見えない1ページがあり、そのページこそ描れていないけれど作者が一番読者に伝えたいことが書いてあるのですよ。本はただ、あったエピソードの羅列では無いのですよ。それで何が言いたかったのか、考えてご覧なさい」と、皆様にお話させて頂きました。(勿論、もっと易しい言葉を選んでですが。)まだ、どのお嬢さまもお話を流れで捉えていない点、その底に流れる主人公の気持ち、そして作者の思いを汲むことの難しさを感じました。お話が点ではなく、線で捉えられてこそ、お話の順番も正確に見えて来るように考えております。