昨日の続きを少し書かせて頂きますね。

オーロラ姫は何故塔に上っていったのか・・・。前回では、親のスケールからは計り知れないところで、子は育つということをお伝えしたかったのでした。マニラとの距離3000kmということを考えれば、今でも少し胸が苦しくなります。ですから、昨日のブログでの「塔」は息子にとってというよりは、私にとって、今回の留学が「塔」であったのかもしれません。

では、オーロラ姫が塔に上り、糸車のつむに刺されて100年眠ったことに意味はあったのでしょうか。・・・これも、昔話の分析などではございませんので、どうぞそのようにお読みくださいませ。私はオーロラ姫の人生において、塔に上ったことへの意義を以下のように思うのです。

オーロラ姫は、眠り続けることにより、堅く閉ざされた茨を打ち破る力と勇気のある伴侶を得るという大きな報酬があったのではないでしょうか。もし、彼女が塔に上らなかったなら、彼女は眠らなかった。そして、おそらく、隣の国の絵に描いたような王子様と結ばれていたのかもしれません。その王子様は、長い結婚生活の間に起こる、戦や天変地異に、もしかしたら身を賭して妻や子を守る力も勇気も無かったかもしれないのです。オーロラ姫は眠ると言う行為で、居ながらにして勇気も力も全ての若者に勝る伴侶を得たのです。(多くの若者が茨につるされたまま、息絶えているショッキングな挿絵がありました。)そして、何よりも女性をうっとりとさせる王子様のキス。目覚めたばかりのオーロラ姫が、結婚を快諾する程、この若者は魅力的であったのでしょう。いえ、あまりに速い承諾は、もしかしたら彼女は最初からこの結末を予測していたのでは、とさえ思えて来るのです。

そして、同時にオーロラの眠りとともに、お城中が眠りに就いたことにも、私は意義を感じるのです。あれほど心配していた王様とお妃さまは、オーロラの眠りを知らずに済んだと言えます。同時に眠っていたのですから。もし、この二人が目覚めていたなら、親として100年も眠り続ける娘を見て、どんなに嘆き続けるでしょうか。この二人は、名医を探し、あるいは呪いをかけた魔女を探し出すなど、ありとあらゆる手段をこうじて姫の眠りを邪魔しようとしたでしょう。

眠れる森の美女のお話が美しいのは、結局は不幸な運命に逆らえなかった、というところにまずあるのではないでしょうか。そして、その運命は決して悪いことでは終わら無かったのです。物語の最後では、多くの方がしみじみとした安堵感に包まれるのではないでしょうか。