会員の皆様にご無理の無いように、授業は日時変更や振り替え措置を取らせて頂く中、昨日お集まり頂きましたお子さまとお母さまのお顔を久しぶりに拝見し、ホッと致しました。
地震から11日目。まだ幼稚園ではこれから年長さんになられるお子さま達は大きな地震の時のことをどのように記憶していたのでしょうか。尋ねた私は、どのお子さまもありありと覚えていることにまず驚き、そして、その内容に胸が熱くなりました。
「地震の時、お母さまと居て、お母さまは私の上からすぐにお布団をかぶせてくれました。そして、そのお布団の上から、お母さまが覆いかぶさってくれました。お布団とお母さまが私の上で守ってくれて、安心でした。」・・・咄嗟にあの揺れの中で、お母さまの取られた行動です。言葉で伝えられなくても、このお子さまはご自分が母になった時には、同じようにして子どもを守ろうとするでしょう。
もうお1人のお答えです。「地震の時は、お母さまと弟と公園にいました。すぐに広いところに行って皆で一緒にじっとしていました。揺れるのが終わったら、また大きな地震が来るかも知れないので、すぐにお家に帰りました。」お子さまが学ばれた、災害時での知恵。冷静に判断されるお母さまを、やはりお子さまは一部始終見つめていました。どんなに「慌てずに行動しなさい。」と言っても、お子さまがご自分でどう振る舞うべきかを判断するのはそうした言葉よりも、圧倒的にお母さまの取られる態度からでしょう。言葉は一過性で耳を通過していっても、動物の親子と同じく、人間の子どもも、親のふるまいから全てを学んでいく筈です。
また、地震が起こってどんなことを考えたのかも聞いてみました。「びっくりしました。」「いやな気持。」など、いろいろな声が聞ける中、「地震でお家が流された人は可哀想です。それで、頑張ってその人が食べられるように寄付をしようとしています。」という答えが返って来ました。ごく自然にそのような答えを言えるご家庭の教育環境。お子さまの感じ方は大変ストレートですから、実行の伴わない口先だけのことを聞いただけでは、心に何も響かず、残らないでしょう。こうしたお子さま達を思い、帰路につきながら、しみじみと、身長計で体の発育が計れるように、心の成長というものも、目には見えないものの、計れるくらいにはっきり存在するのだと感じていました。幼児に関わる全ての大人はこの心の成長をもっともっと大切に考え、育てていくべきものであると改めて考えました。親子で成長していくということも、そのためには欠かせないことでしょう。心を豊かに、優しく、利己的にならないように他の方を思いやる気持ち。つつましやかさ。・・・親としての心の成長が、そのまま子にダイレクトに伝わっていくという仕組みを身にしみて感じさせられた一日でした。