国立音楽院の授業を持たせて頂き、はや18年になります。本当に多くの方と出会え、幸せな18年であったと思っております。また絵本の世界と音楽の世界を融合させた幼児教育法は、私独自の発案による為に、日々、時間がある時には心の中に『あの絵本の世界をこのように楽しくカリキュラムに生かしたらどうか…。』ということが浮かび、よく明け方の夢にまで出て来たアイデアを飛び起きて手帳にメモするようなこともありました。いつしか書店で絵本を手にすると音楽が舞い降りてくるのを待つようになり、また音楽を聴きながら形なき何ものかが現れてこっそり歩いたり、とび跳ねたりという動きを常に感じながら過ごしてまいりました。

そうしたことを意識したことは、あまり無かったのですが、今、あらためて振り返ると、私自身の心にも随分絵本と音楽の自由な世界が浸透し、作用しているのが解ります。三宿の校舎の2階では、今、赤ちゃんのリトミックも行われ、大人の方の為の授業に来ているのに、エレベーターで出会うと、『あらあら・・・[E:heart04]』と、そのままついて行きたくなってしまう程、やはり私は小さな人が好きでたまらないのですね。

国立音楽院で大人の生徒さん達と一緒に音楽を聴いてそこに広がる世界を話し合ったり、身体表現するのも、本当に楽しいのです。雪の女王、眠り姫、人魚姫、一昨年前よりはお姫様シリーズでも様々な表現を行っています。私は思いついたことは何でも実行に移しますので、親指姫がやがて雪に降りこめられる場面では、雪の小道具として、歯磨き粉まで使用してみました!音楽に合わせて教室中で透明のビニールシートに点々とティシュに取った歯磨き粉の雪を降らせていく・・・。初めは、白い絵の具を使用したいと考えておりましたが、実際のお教室で使用した場合、小さなお子さまが、もしなめても安全な絵具は無いかと考え、突然、「歯磨き粉」を思いついたのでした[E:happy01]。おかげで、音楽が終わるころには教室中にフレッシュなミントの朝の香りが充満しておりましたが(笑)。

それにしましても、お母様の受講生が多い昨今です。先日も生徒さんとお話ししていて驚きました。ご結婚されて、しかも小さなお子さまのお母さま達だったのですね。そして、その時、100%お子さまの為にご自分を犠牲になさらないで良いのですよ、というようなことをお話したのでした。夜眠る前に沢山の絵本を抱えていらっしゃるお子さまに「眠くて、今日は2冊よ。なんて言ってしまうのが本当に、悪いと思ってしまいます。」と言われておられましたが、昼間頑張ってご一緒に遊んであげるのだけでもどんなに疲れるのかよく解ります。「ごめんなさい。今日は疲れてとても眠いの。明日読んであげますよ。」そう言ってあげることも、またその子を育てるのです。

いつでも、どこでもお子さまが最優先の生活を続けましたら、もしかしたらご自分がいつでもどこでも最優先されるのだと思ってしまう大人へと成長してしまうかもしれません。そして、最優先されない環境ではもしかしたら居心地の悪さを感じてしまい、そうした場所に身を置くことを自分からボイコットしてしまう人になってしまうかもしれないのです。兄妹が多い方で、全員にしてあげたいのに、してあげられない事が多すぎて・・・と、真摯に教育のことを考え、悩まれていらっしゃる方もいらっしゃいますが、全部をしてあげないことが、逆にどんなにそのお子さまの心と頭の成長を促していることか・・・。心の成長は身長のように目には見えません。でも、身長計で計れるくらい、はっきりとした成長度合いがあるように、私は思います。そして、そのお子さまの成長全てにお母さまが関わる責任はありません。また、関われるものでも無いのです。

先日は音楽院の授業が終了すると「田園調布」行きのバスに乗ってみました・・・知らない道を通るのって、とても好きです。思った通り、駒沢公園の脇を通って、やがて25分ほどで自由が丘に到着しました。自由が丘も奥沢も好きな街です。昨日は自由が丘から奥沢のセミプライベートレッスンの為に歩いて行こうとして失敗、結局あの短い距離をタクシーに乗りました。

お話は変わりますが、ものすごい「ひげじいさん」という絵本に出会ってしまいました。とんとんとんとん、と、気楽に歌っていた「ひげじいさん」が、こんなに凄い人であったのかと驚きあきれ、怪しみ、魅せられ、最後には拍手を送りたくなりました。お子さまの反応がとても楽しみです!