スペインの絵本です。エリサ ラモン(著), ロサ オスナ (イラスト)で、今日の個別ご指導の後、有隣堂で出会った本です。大切なお母さんリスを失ってしまった子リスのロハ。おとうさんが「おかあさんはいつまでもそばにいるんだよ。」と言っても、ロハには届きません。ロハは大切なお友達の羽の下で眠ります。もう、心が火傷していて、居てもたってもいられない感じ・・・。良くわかります。おとうさんはおふとんの上からロハをやさしく撫で、慰めようとするのですが、ロハにはお母さんのにおいのするマフラー以外、残されているものは無いと思うのです。ロハはどんどん元気が無くなっていくのですが、ある日、ロハの大切な歯が傷つかないようにくるみを割る秘密の方法をお母さんに教えてもらったことを思い出すのです。ロハはお腹いっぱいくるみを食べるのでしたが、その直後、体が震えるような、そばにおかあさんがいてくれる感覚を味わうのです。悲しみはまだまだロハを今後も襲ってくるでしょう。でも、ロハがくるみを自分で食べたということが、失意から立ち上がる一歩になっていることは確かです。ロハはまだ小さな子りすですが、大人への一歩も踏み出しているのです。そして、ロハにきっかけをくれたのはただの生活の知恵では無く、母のロハに対する愛情に満ちた教育の賜物だと言って良いのだと思うのです。くるみの割り方を教える時、おかあさんは愛情に満ちたやさしくユーモアも感じられる目で、ロハを見つめながら言った筈です。「ロハちゃん、くるみの割り方を教えますよ。これはね、あなたの大切な歯が傷つかないようにくるみを割る秘密の方法なのよ。」・・・そうなんです。ロハは自分だけの秘密の方法だと信じているのです。でも、絵本に書かれていたのはくるみを両手で持ってかじるごく普通の方法であったのです。ロハはおそらく年を取って無くなるまで、くるみを食べるたびにそれが秘密の方法であると思い出すのでしょう。ごく普通の生活の中で繰り返されることに、自分を気遣ってくれた母の思いやりの気配を感じるとは、なんて幸せなことでしょうか。「大切なあなたが、傷つかない為の秘密の方法よ。」こんな魔法のような言葉をかけて何かを教えられる子供は本当に幸せですね。「~しなければ、いけないのよ。」ではなくて、例えば夜の歯磨きを嫌がる子に、そのようなことを言ってあげられたら、その子にとってその時から一生、ただの夜の歯磨きでは無くなるのではないでしょうか。
この絵本・・・。最初から涙もろい私には危険、とわかっていたのでしたが・・・。結果はお察しの通りです。本当に困りました。特に、おかあさんはそばにいつもいてくれるんだ、とロハが気付いた後の最後のページでロハの枕元に立つおとうさんのすぐそばにロハのおかあさんが立っているのを見てしまってからはもう(笑)