横浜雙葉小学校入学試験についての速報を20日のブログで載せましたが、やはり、今年度のお話の記憶の出典は、バレリー・ゴルバチョフの「ふたごのひよちゃんぴよちゃんはじめてのすべりだい」で間違い無かったようです。
当教室では、皆様に彼の作品にいち早く触れて頂く為に、20日の時点でバレリー・ゴルバチョフの手に入る限りの絵本を手配いたしました。そして本日、第一便の「ふたごのひよちゃんぴよちゃんはじめてのようちえん」が届けられました。愛らしい絵!無理に可愛く描こうとしているのではありません。むしろ、動物達は皆、幼稚園で見かける、生き生きとしたお子さま達の様々な表情を模しています。そして、色彩もタッチも目にやわらかです。しかしながら、目を引く魅力的な絵ばかりではなく、本当の素晴らしさは、文の中にありました!

ひよちゃんとぴよちゃんは、おかあさんにつれられ、初めて幼稚園に行くのです。2羽は、ドキドキ。<めんどりかあさんがいいました。「いってらっしゃい、ようちえんは たのしいわよ。」>・・・その時の、2羽の『そんなこと言われたって…』というような、何とも言えない表情!お子さまはよく、こんな表情をします。大人が、めんどりかあさんのような、既成概念を、ポン!と無責任にお子さまに投げかけて、まだ準備の出来ていない彼らの背中を押しだす時に。
2羽は、あおさぎ先生に「ぼくたちこわいの」「しらないこばっかりなんだもん」と訴えます。先生は「だいじょうぶ。すぐにおともだちができるから。」と言います。

<「どうしたら、おともだちができるの?」「いっしょにあそぼうっていえばいいのよ。」>

2羽は、一生懸命に「あそぼ」と言ってまわるのでしたが、お友達にはそれぞれ事情(つみきの塔が倒れそうであったり、先生が本を読んでくれるお話の時間で静かに聞くべき時だったり、お歌の時間で、皆で歌っている最中だったり)があり、「しーっ!だめだよ!」と言われてしまうのです。このあたりも、この絵本作家は、お子さまの経験しなくてはならない、切なさをよくとらえていると思うのです。人生の初期において、一生懸命に与えられたキイワードを使って、なんとか初めての出来ごとに対処しようとするけれども、事態は空回りするばかり。それは、このように、そのキイワードを生かす状況への理解が乏しいということもあるのですね。「…一生懸命やっているのに、うまくいかないなあ・・・」そんな幼いお子さまの悲しみが見えるような場面です。成長するということは、経験しなくてはならないのだということが解ります。例えばマニュアル本があって、「あそぼ」と言うべき時、控えるべき時について読み、納得してみせても、真の理解には至りません。それを、あおさぎせんせいは実によく解っていることが伝わってくるのです。絶妙なタイミングで、あおさぎせんせいは2羽に声をかけるのです。<ひよちゃん、ぴよちゃん。ようちえんにはなれたかしら?」>そして、せんせいはみんなを野原に誘います。しかし、小川があって、2羽は渡れないのです。
・・・このあおさぎせんせいの目線、そして、言葉がけ!!本当に恐るべしです!お母さまをはじめとし、幼児教育に関わるものに、とてつもなく大切なものを学ばせてくれます!せんせいは、すでに2羽が小川に対し躊躇しているのを見ているのです。が、次のページになって、せんせいはふりかえるのです。「あらどうしたの?」2羽に渡れない理由を訴えさせて、幼稚園の子ども達みんなの問題にしているのです!ビーバーは橋を作ってあげようかと言い、うさぎはおんぶして飛び越えてあげる、カエルは泳ぎを教えてあげると言うのです。せんせいはみんなのやさしさを褒めた後で、<「でもね、もっといい方法があるの。手をつないであげたらどうかしら。」>と言うのです。そして、遊んでいる最中も、先生はこの2羽から視線を外しません。あおさぎせんせいは、教育者の理想の姿であり、常に見守り続け、最適な時を知り、教育的配慮に基ずいた美しき計らいごとをその都度用意出来る先生なのです。あおさぎせんせい!そして、バレリー・ゴルバチョフ、本当に素晴らしいですね!来週月曜日に、この絵本をさっそく授業で使い、お母さま方にもご覧いただきますね!どうぞ、お楽しみに!