いつか、たった一人で地方の電車に乗っていました。私は、車窓を眺めるのが大好きなので、その日もずっと外を見つめていたのです。電車の中にも乗客はあまりいませんでした。ひたすら、緑の中を電車は走り続けていました。その時、ずっと向こう側の山影から、同じ方向に走る電車が現れたのです。向こうの電車とほとんど同じスピードで、電車は200メートル程の距離をあけ、並行して走りました。ふと、向こうの車窓から、顔すら判別出来ない距離でしたが、私は視線を感じたのです。私もその人を見ました。そして、次の瞬間、お互いになんと手を振りあったのです。ほとんど同時に手を振り合い、彼女(そう、女性ということは分かりました。)も私も声無き声で、さようなら!と言いあったのです。人はそんな瞬間に全く行きずりの人と、心を通わせられるのだとその時知りました。もう、随分前のお話しですが、その時感じた嬉しさはそのまま今も消えていません。あの時、私達はお友達になったのです。このブログをご覧頂けますこと、いつも感謝しているのです。私の差し出した稚拙な言葉の束を読んで下さっているあなたは、どんな方なのでしょうか。なんだか、あの電車の方を思い起こします。