幼い子供の心は、本当に興味が尽きない。今日は、自分自身の子供時代の思い出のひとつを書いてみようと思う。
・・・あれは、まだ幼稚園の年中くらいの時だったと思う。母のお友達のお家に連れられて行った。そこには、私と同じ年の男の子がいて、「お外で遊んでいらしゃい。」と言われ、2人で出掛けた。2人は少しばかり遠くまで歩いて行ったのだ。しばらく遊んでいるうちに、急に、不安な気持ちが押し寄せて来た。そこで、「ママに会いたい。」と告げると、男の子は言った。「そう、それなら、僕、電話してあげる。」そして、彼はそばの雨どいの端に、口をつけて、「もしもし、おかあさんですか?ひでこちゃんが、さみしいって言ってますよ。はやく、お迎えに来てください。」と『電話』してくれた。私は、もしかしたら、それでも通じるのかしら?という気持ちと、でも、無理なんでしょうね。という気持ちでしばらく見守っていた。時間がたっても、その連絡方法が、やはり効果的ではないらしいことに気がついた私は、泣きだした。すると、その子は、ますます、頑張って、雨どいの電話に向かって急を告げながらも、「だいじょうぶ、泣かないでね。きっと、来てくれるからね。」と一生懸命慰めてくれたのだった。私は、その時、8割は真剣に泣いていたのだと思う。しかし、あとの2割で、漠然とその時感じていたのは、「男の子って、こういうもの。」という微かな予感のような感情だったのだ。それから、私は長い女子校生活を送り、数少ない事例しか知らない[E:wink]が、やはり、「男性は、そういうもの」に近い一面を持っているのだと、今でもあの時のことを思い出す。幼稚園の子供の心は、大人が簡単に思うほど単純ではない。思いやりも、感じ方もしばしばびっくりするほど深い。だから、絵本も、けっして、可愛いだけのキャラクターものなどを選ばないでほしい。彼らに大変失礼である。